
A+ 面白い
A ↑
A−
B+
B 普通
B−
C+
C ↓
C− つまらない
『評価』
B+(演技3/演出3/脚本4/撮影3/音響3/音楽4/美術3/衣装3/配役3/魅力3/テンポ3/合計35)
『評論』
「ハッカビーズ」とは、本作中に登場する来店すれば何でも揃うと謳う合理的な大手スーパーマーケットです。当初、この映画はこの「ハッカビーズ」を中心とした人間ドラマ&B級ラブコメと思って観たのですが、蓋をあけてみれば、人間とは何ぞやという哲学的な人間探求映画でした。
独特の淡々とした、まるでウェス・アンダーソン風なテンポで進む映画なので、ストーリー云々以前に、好き嫌いがはっきり別れる作品だと思いますが、個人的には好きな作品です。

環境保全団体の支部長を務めながら、感覚的にちょっとずれていて自己を探求したいと願う主人公のジェイソン・シュワルツマン演じるアルバート。
物事には全て関連性があるとする「哲学探偵」のダスティン・ホフマンとリリー・トムリン演じるベルナード、ヴィヴィアン夫婦。
物事には全て関連性はないとするベルナード、ヴィヴィアン夫婦の元愛弟子のイザベル・ユペール演じるカテリン。
主人公アルバートとは対照的な、ルックスも才能も、社会的地位もあるジュード・ロウ演じるブラッド。ブラッドの恋人で「ハッカビーズ」専属モデルのナオミ・ワッツ演じるドーン。
9.11以来、石油を使う事は悪だと思っている消防士のマーク・ウォールバーグ演じるトミー。
全てのキャラが個性的且つ鮮明に描かれていたせいか、非常に面白く、楽しかったですし、テーマ的には理屈っぽい実存主義についても、飽きることなく観る事ができたと思います。

さて、主人公であるアルバートは、この映画の中で、自己探求をしていきます。
まず、ダスティン・ホフマンとリリー・トムリン演じるベルナード、ヴィヴィアン夫妻に、自己に関しての調査を依頼したアルバートでしたが、物事には全て関連性があるという陽の考え方を教授され、徐々に真理に近づいていきます。
ところが、自己探求のパートナーである、消防士トミーの紹介でベルナード・ヴィヴィアン夫妻とは対照的な、物事には全て関連性はないと解く陰の哲学を持ったイザベル・ユペール演じるカテリンと知り合い、彼女の教えに共感するようになります。
でも、陽と陰の考え方を経る事で自己探求は完了し、自分なりの真理に辿り着く訳なので、どちらが正でどちらが誤とも言えない訳で(^-^;

このやり取りで面白かったのは、ベルナード、ヴィヴィアン夫妻がカテリンの考え方に引き寄せられるアルバートをみて、陰の考え方に囚われるなと言っている箇所が、まるでスターウォーズでダークサイドに引きずり込まれるなと言っているシーンとダブるところです。
恐らく意識して作っているのでしょうが、パロディチックで面白かったです。
個人的には、当初、ベルナード、ヴィヴィアン夫妻とカテリンは裏で繋がっていると睨んでいたのですが、結局はそうでもなかったようで、アルバートを通じてお互いの偏った思想に気付かされたという展開も、なかなか良かったと思いました。
ジュード・ロウが演じたルックスも才能も名誉もあるブラッドというエリート社員ですが、当初、アルバートに対抗して「哲学探偵」に自己の調査を依頼するのですが、結局、自分の中にある本当の自分を発見し、困惑してしまいます。

我々人間って、自分の都合の悪い事や弱い自分、汚い自分に蓋をして、そういうのに気付かない振りをして過ごしている事って少なくない訳ですが、自分を見つめなおして認めてやり愛してやることで、本当の自分になれるという展開も興味深かったと思います。
こういう映画って、観る人によっては如何様にもとれますし、いろいろと考えさせられる映画だと思います。
そういう意味でも、観てみて損はないと思います。
ちなみに、余談ですが、本作中のダスティン・ホフマン演じる「哲学探偵」ですが、監督のデヴィッド・O・ラッセルによれば、モデルは、ユマ・サーマンの父上であるロバート・サーマン氏だとか。
彼は仏教学の大学教授でデヴィッドに大きな影響を与えているらしいです。
『内容』環境保全団体の支部長を務めるアルバート(ジェイソン・シュワルツマン)は、自身におきた偶然とその因果性、真理について、「哲学探偵」に調査を依頼する。哲学探偵である夫婦ベルナード(ダスティン・ホフマン)とヴィヴィアン(リリー・トムリン)の調査によって徐々に明らかにされていくアルバートの心の内。
そして、アルバートの心の中には、大手スーパーマーケット「ハッカビーズ」の社員ブラッド(ジュード・ロウ)への嫉妬、憎悪、恐怖が溢れていた。
『配役』アルバート・マルコヴスキー/ジェイソン・シュワルツマン
ブラッド・スタンド/ジュード・ロウ
ベルナード/ダスティン・ホフマン
ヴィヴィアン/リリー・トムリン
トミー・コーン/マーク・ウォールバーグ
カテリン/イザベル・ユペール
ドーン/ナオミ・ワッツ
ケヴィン・ダン
ティッピー・ヘドレン
タリア・シャイア
シャナイア・トゥエイン
リチャード・ジェンキンス
『監督』 デヴィッド・O・ラッセル
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